2024.2.17(土) – 4.14(日)まで京都文化博物館で開催中の『コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより』に行ってきました。
コスチュームジュエリーとは何?と意味も知らずに展示に向かった著者。
本展示でその意味を知ると同時に、個性あふれるジュエリーを約400点以上も鑑賞できる贅沢な展示でした。ジュエリーや服飾史、ハンドメイド好きの方なら必見◎今回は、コスチュームジュエリーとは?当日の展示会場の様子や、グッズ販売や感想についてをレポートしていきます。
コスチュームジュエリーはフランス語由来
まず、コスチュームジュエリーとは、
フランス語でファンタジーなジュエリーを意味する”ビジューファンテジー”(Bijou Fantaisie)に由来
「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」より引用
とフランス語由来のことば。
↑パッと目を引くゴージャスなジュエリー。さぞかし高価な宝石をつかって…。と想像しちゃうこのアクセサリーの素材は、クリスタルガラス・ラインストーン・メタル。
そう素材は高価ではない。それがコスチュームジュエリー。貴金属やダイヤなどの高価な素材を使わず、身近な素材(合金・銀・ガラス等)を用いて作られいるのが特徴です。
かつて宝飾品とは高価な貴金属や宝石を用いて権力や富の象徴するためのモノ。そんな価値観を変えたのが先駆的なデザイナー「ポール・ポワレ」や「ココシャネル」でした。
20世紀初頭、貴金属偏重の価値観から開放され、女性の社会進出と深く関わり、多様な素材で“個性を表現するため”のアイテムとなった
「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」より引用
時代の変化、特に女性の社会進出とともにジュエリーのあり方が変容したのは興味深いですね。
コスチュームジュエリーについて詳しく知りたい方は、展覧会の図録「コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、スキャパレッリ、ディオール」に詳しく載っているのでオススメです。
コスチュームジュエリー展に行ってきた
京都文化博物館に到着
レンガ造りの美しい建物が見えてきました。なんと明治39年(1906)の建造物。
近代建築の巨匠、辰野金吾とその弟子長野宇平治による設計で元は銀行でした。
中に入ってみると、歴史ある建造物の美しさに目がキョロキョロ。
先程の建物は別館。展示は本館で開催なので移動します。
本館でチケットを購入。手ぶら鑑賞派にはうれしいコインロッカーもありました◎
荷物を預けたら、4階へ移動し展覧会のスタートです。
コスチュームジュエリー展会場の様子
入り口には、こんな壁面が!ここで記念撮影しても映えそうですね。コスチュームジュエリー展では、
と、3つのテーマで構成されています。
1つ目のテーマ「美の変革者たち」では、シャネル・スッキャパレッリ・ディオール3人の初期作品であるオートクチュール用のクチュールジュエリーを中心の展示(イヴ・サンローラン・ジバンシィ、バレンシア等名だたるブランドが並ぶ!)。
ジュエリーだけでなく服(シャネルやディオール)も数点展示してあったのは嬉しかったなぁ。神戸ファッション美術館にも足を運ばなければ。
椿モチーフのブローチ。花びらはガラス製!独特なぷっくり感や色味に惹かれました。他に3つ並んでいたブローチは撮影OK。どれもとても温もりを感じられる美しさでした。
2つ目のテーマ「躍進した様式美」では、ヨーロッパアーティストによる作品が並びます。職人魂のワザが光るジュエリーや、アーティスト性を感じられる表現の数々に圧倒されます。
リダ・コッポラ(1915-1986)というイタリア人アーティストをこの展覧会で知ったことは、個人的に大きな収穫でした。
↑図録の表紙にも使われていました。ヴェネチアンビーズなどイタリア素材を好んで用いた作品はどれも、繊細でかつ大胆。洗練されていてモード!惚れぼれ。
「ビーズからこんな美しさを生み出せるの?」と1番鑑賞時間をさきました。ビーズでの表現力に驚きです。リダコッポラの作品をもっと知りたいと思っていたら、気になる書籍を発見↓
▼リダ・コッポラさんに感化され、ビーズジュエリーを初心者でも作ってみました!
そして、3つ目最後のテーマは「新世界のマスプロダクション」アメリカの自由でユニークな作品が並びます。
記事の最初でも取り上げた、コチラ。dior(ディオール)のシューズを手掛けたロジェ・ヴィヴィの下で働き、ニューヨークでコスチュームジュエリー会社を創業したケネス・ジェイ・レーン(1932-2017)によるもの。
ケネス・ジェイ・レーンさんの顧客がすごい。プリンセス・ダイアナ、オードリー・ヘップバーンなどのビッグネームが。このジュエリーは、どんな女性が身につけていたのでしょうか?そして自分ならどんなファッションを着たいか?想像するのも楽しい時間です。
ところで、コスチュームジュエリーには、3つのレベルがあるとのこと。
・オートクチュール様にデザインされたもの
「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」より引用
・プレタポルテ(高級既製服)用
・大量生産され、広く一般にむけたアクセサリー
展覧会ではそのレベルをすべて網羅した、見ごたえたっぷりな展示になっています。
コスチュームジュエリー展のグッズ販売の様子
展覧会オリジナルのトートバッグや、図録。
展覧会のポストカードや、クリアファイル。そしてアート小物がズラッと並んでました。
もちろん、ジュエリーも。
展覧会に関連した書籍もありました。ジュエリーを眺めていたらモチーフの意味が気になったので、「すぐわかるヨーロッパの装飾文様」は後にじっくり読んでみたい1冊。
コスチュームジュエリー展の感想
コスチュームジュエリー展から、コスチュームジュエリーとはなにか?を知った著者。そんなジャンルを教えてくれた、この展覧会の主催者でありコレクターの小瀧千佐子さんに「ありがとう!」と言いたくなる素敵な展示でした。
ひとつひとつ飾られたジュエリーの個性を眺めて、作り手や職人による、こだわりや表現を自分なりに解釈し感じとる時間は、自分との対話にもなりました。作り手視点になってみたり、ジュエリーをつける側の気分になってみたり。そして今後自分につけるアクセサリーについて妄想したり楽しい時間を過ごすことができました。
ジュエリー展の混雑状況は?
展覧会が始まった2月の下旬。平日の昼間は人はまばら。並ぶこともなく、スムーズに鑑賞できました。館内スタッフに伺ったところ、土日は平日の様子の2倍以上。とっても混んでいるわけではないとのことでしたが、春にむけて人が増えるとのことで、思い立ったらスグ行くことをおすすめします。
まとめ
以上、2024.2.17(土) – 4.14(日)まで京都文化博物館で開催中の『コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより』に行ってきた著者による現地レポートでした。
個性あふれるジュエリーを約400点以上も鑑賞できる贅沢な展示。ジュエリーや服飾史、ハンドメイド好きの方なら必見です◎最後に、図録にかかれていた小瀧千佐子さんの一文が素敵だったので引用させていただきます。
コスチュームジュエリーが発するメッセージを受け止めて、決して古びることのない様式美が、これからのあなたの個性を引き出す一助になれば、こんな嬉しいことはございません。
「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」より引用
最後まで目を通してくださりありがとうございました。
展覧会の概要:
特別展「コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより」
会期:2024年2月17日(土)〜4月14日(日)
会場:京都文化博物館 4・3階展示室
住所:京都府京都市中京区三条高倉
開室時間:10:00〜18:00(金曜日は19:30まで)
休館日:月曜日
入場料:一般 1,600円、高校・大学生 1,100円、小・中学生 500円未就学児 無料
>>展示の詳細はこちら
後日、リダ・コッポラさんに感化され、ビーズジュエリーを初心者ながらにトライしたので、よければ合わせて読んでみてください。
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